ワダからのメッセージ (2020/12/25 №77)

コロナ倒産抑制と失業増大

はやいもので、2020年も師走である。本当に、皆さんも同じだと思うが、「バタバタしているうちに一年があっという間に経ってしまった!」というのが実感だと思う。一年間、「ワダからのメッセージ」でも「緊急メッセージ」でも「なにしろコロナに負けず、資金繰りをしっかりしましょう」ということを言い続けてきた。

さて、このメッセージは12月19日に書いている。今日のコロナ関連のニュースとしては、国内の感染者は2,984人、死亡者は37人。東京の感染者は過去2番目の多さとなる736人という。

そしてもう一つのニュースは、米国のファイザー社やモデルナ社の「ワクチン開発」のメドがつき、米国を中心に接種をスタートするというものだ。副作用などが心配であるが、効き目が少しでも分かれば「見切り発車」ということなのであろうか、今までのワクチン開発のスピードとは全く違う異例の速さである。日本でも6,000万人分の用意をし、来年2月以降からスタートするという。

このコロナ、感染するとなかなかやっかいだ。その負担は「医療従事者」に重くのしかかっていて「医療逼迫」「医療崩壊」という言葉が気になっているが、「実態はよく分からない」というのが現実ではないだろうか。

いずれにしても、これだけの大事件が一挙に押し寄せ、真実も本質も分からないウィルスに攻められ続けて、世界中の人々が恐怖に襲われ、医療従事者は疲れきっている、ということだけは理解し、一人ひとりが自己防衛をし、生活していかなければならないのが「2021年も続く」と考えざるを得ない。

このような状況であるが、実態としては10ヶ月ほど前に予想していたより「倒産の数は少ない」。しかし、日本経済に大きな打撃を与えていることは事実である。今年4‐6月期の国内総生産は年率マイナス28.1%と戦後最悪を記録。「50兆円が蒸発した」とまでアナリスト達は表現した。

下期に入り「Go to トラベル」「地域クーポン」などで人出(旅行、観光、宿泊、飲食)は一挙に浮上したが、実態は厳しく、最悪期を脱したように見えるだけと私は思っている。

それは政府が間接金融政策によって支援しているからである。しかし、この12月18日から「Go to トラベル」は「一時中止」になった。

政府の支援策が中小企業にも浸透していることによる効果はやはり大きい。実質、無利子、無担保融資といった公的支援で当面の資金繰りはしのげても、売り上げが戻っているわけではない。なんとか持ちこたえているというのが実態であろう。

東京商工リサーチによると「20年度の上半期(4-9月)の倒産件数は過去30年間で最少となった」という。企業倒産件数は過去に例のないほどの低水準だが失業者は増え続けているというねじ曲がった状況が起こっている。それは「Go to トラベル」に代表されるように政府、日銀の政策による「政策消費」によって「人出を創って消費を促しているから」である。

だが、失業者数は増え、「10月時点の完全失業率は3.1%、失業者数214万人」と総務省は発表している。

日本は「大人のひきこもり」、つまり本来なら労働力になる人が実態はよく分からないが、約200万人いると言われている。「失業者+働かない人+非正規雇用」という「労働力はあっても仕事無し」の人は相当の数になっていると予想できる。

因みに総務省によると「非正規職員、従業員数」は10月時点で前年同月比で85万人減少し、2,111万人となった。減少は8ヶ月連続という。

この傾向は来年以降も続くだろうし、経営者は最後には「人件費」すなわち「雇用」に手をつけざるを得ない。

今、中小企業の多くは借金漬けになっているのが実態である。今は緩和されている融資審査もやがて厳格化されるということを覚悟しておき、早く対策を打っておかなければならない。

 

12月10日、ワダセミナー2020を開催した。その時にお話しした「やって欲しい三つのこと」を少し長くなるが、載せておくので、改めて確認して欲しい。

〔それぞれの会社に合わせて実行してほしい三つのこと〕

それは、「創造」「革新」「提案」である。

1)創造(Creative)

今までやっていないことをこの危機ではやらないと駄目である。

①どんなビジネス(商売)をどんなスタイルでやるかを創造する

まさにビジネスモデルを変えるくらいのことに挑戦したい。その時のポイントは「IT化」「デジタル化」をどう取り入れ、使うかである。

②どんなマーケット(お客さん)をどうやって攻めるかを創造する

物販では何といってもこのコロナ禍で成長しているのがECネット販売。そんな中で今や120万店がEコマースプラットホーム「BASE」のアプリを使って販売している。まさに「新しい創造」であるが、このような仕組みを使って挑戦してみることが必要である。

社会で必要とされる、特にこの疫病の中で必要とされる商品・サービスを創造する

  • ホテル・レストランがビュッフェ方式からセット方式、取り皿方式にすぐ変えた
  • テイクアウト、宅配など、新しいサービスを付加した
  • マスク専門店、マスクECなど、ファッショナブル、機能性のマスクを扱う店が出てきた。ユニクロもすぐマスクを扱った

経営はある面では創造業である。製品というハードでも、サービス商品やビジネスモデルなどのソフトも、アイデアや知的財産も一つの形にする創造(クリエイティブ)によってビジネスになる。

この未曾有の危機、環境変化に生き残れることを創造しなければならない

2)革新(Innovation)

社長の仕事の一つは「革新」することである。大きな会社でなくても老舗にヒントがある。数百年も続いている長寿企業は幾度となく天変地異や戦争を経験している。それでも生き残っている。過去の成功体験にとらわれていないか?時代の変化、消費者の変化を見逃していないか?変える勇気をもっているか?

老舗の生き残りの秘訣は「小さな革新の連続」であった。今、リモートの時代、制約の時代である。そうした中での革新が必要である。次の点を見直して欲しい。

  • 社長をはじめ社員の意識を革新する
  • 今までのやり方を革新する
  • 今までのマーケット、お客さんのニーズに合うように革新する
  • 今まで扱ってきた商品やサービスを革新する

3)提案(Proposal)

お客様に伝える力、上場企業であればステークホルダーに伝える力である。誇大広告はいけないが、一番大事なことは自分たちがやっていることをお客様にきちんと伝えられるかどうかである。

お店のメニュー、店舗づくり、そこにいる社員、パート、あらゆる人たちがその会社の代表選手である。その一人ひとりがお客様にどういうメッセージを伝えられるか、どういう提案ができるのか?そういうことによって会社は選ばれる時代になっている。特にコロナ禍ではまず「安心」「安全」をどう提案できるかが大事である。

提案とは、

  • 相手(取引先、お客さん)に伝える能力である
  • 相手に欲しくさせるための手段である
  • 相手に(取引先、お客さん)の課題解決をできる能力である
  • 正しい経営理念、ポリシーを伝えられる能力である

今、会社経営は、このコロナの影響で売り上げを落としている。結果として資金繰り対策に追われている。いかに「キャッシュフロー経営が大事であるか」を感じている。

もう一つは、「デジタル化」への対応である。これは例外ナシに今後の経営には欠かせない。いわゆる「デジタル化、DX化」である。経営者にとってやるべきことが山積みしている2021年になるだろう。何しろ、踏ん張ることが第一である。

2020年の「ワダのメッセージ」はこれが最後になります。

来年も少しでも皆さんのお役に立てるメッセージや思ったことなどを配信していきます。

2021年は1月12日(火)より配信をスタートします。

良い年を迎えてください。