幸せな社長のFlow days 第72回 「地雷処理専門家 高山良二氏に学んだこと(前編)」

こんにちは。梅雨の時期に入り、毎日じめじめしていますね。
肌は乾燥しなくていいですが。(笑)

毎朝ラジオ代わりに聴いているオンライン勉強会があります。
今回は、経営者の方ではないのですが、そちらでご縁をいただいたカンボジア在住の地雷処理専門家の高山良二さん(74)について、書きたいと思います。
高山さんは、以前「奇跡体験アンビリバボー」にも取り上げられているので、ご存知の方もいらっしゃると思います。
高山さんは、1年のうち日本に4ケ月滞在、残りはカンボジアで過ごすという生活をされています。
日本にいても講演活動でお忙しいはずなのですが「お忙しいですね?」と聞くと「まったく忙しくありません。暇です」と。忙しいなんていうのは、自分の能力がなくて忙しいことだから、僕はいつも忙しいと言わない、とおっしゃる、そんな方です。
そして、メールで伝えるより電話の方が早いと、すぐに電話をかけてこられます。(和田もメールより電話ですね)

■志などなかった
高山さんは、高校卒業後、先輩に誘われて自衛隊に入隊。特に志もなく、その後の生活では子どもが育ったらそれでいいと思っていたそうです。
ところが1992年PKOに参加してカンボジアに行った際、目の前で地雷により子供が亡くなり、母親が嘆き悲しむ姿を見て地雷を除去しなければならないという思いが沸き上がります。
「後悔して人生を終えたくない」と。そして定年までの間、英語を学び、一人で生活できるよう炊事洗濯を奥様に習い、カンボジアにいくための準備を進めます。
2002年5月退官後、老後資金400万を手にカンボジア、タサエン村に渡ります。ところが思ったとおりには進まず、2004年9月、精神状態が限界になり、一度帰国して精神治療をし、1年3ヶ月後に再びカンボジアに向かいます。

■現状をみた誰かが行動を起こす
カンボジア全土には内戦時に埋めた地雷が、いまだに400万~600万個も残るといわれています。高山さんは、誰が地雷を埋めたのか?という責任を他に押し付けることもできるが、そうではなく「現状をみた誰かが行動すること」とおっしゃっています。
社内でも何かあっても、自分は別の部署だから……、自分には関係ないから……、と何も改善に取り組まないことがよくあります。
ゴミが落ちていても誰か拾ってくれるだろう、そう思っているうちに誰もゴミに気づかなくなります。
気づいた人ができることをする、その小さな一歩が大事ですね。そういう人を社内で育てていくことが大事だと感じました。

■7人が爆死
専門家だけではとても除去しきれないと判断した高山さんは、住民の手により除去することを考えます。
地雷除去するデマイナーを育成することをスタートさせ33人が応募してきました。高山さんの思いは、いつか地雷を除去し畑に変えるという未来へつなげる思いがありましたが、仕事のないみんなにとっては、復興のためではなくただ生活のためでした。
村の未来のためにという人は、一人もいませんでした。
自分の思いが社員になかなか伝わらない、そんなも思いを持つ経営者の方もいるかと思います。思いは、立場が違うと伝わらないのかもしれませんね。
そして、2007年1月17日地雷除去に取り組んでいた7名が事故により命を落とします。

(次回に続きます)

高山 良二(たかやまりょうじ)氏
1947年生まれ。日本の地雷処理専門家、NPO法人国際地雷処理・地域復興支援の会(IMCCD)理事長、元陸上自衛官、カンボジア・バタンバン在住。