今月の学び(2021.8 №45)

同族中小企業において後継者問題は永遠のテーマである 

日本には300万社近くの中小企業がある。そのほとんどが同族企業であり、ファミリー(家族が中心)企業である。それだけに身内から後継者を出すことは必要であり、必然である。

「会社は三代目で90%が倒産ないしは廃業する」というデータがある。これは何を意味するのか。会社や商売を継続することがいかに難しいかという事実である。だが、これは「三代目の能力がなかったから」という個人の問題でもなさそうだ。

日本は世界で最も長寿企業が多いと言われている。私の見解であるが、会社や店を永続させる仕組みがあり、永続させるための価値観(考え方)が代々、継がれていて躾や教育(育成)もしっかりしていることが土台にあるからだと思う。

1980年代から90年代にかけて私は流通業界に関わってコンサルをしていた。その頃、成長していた量販店(チェーンストア)も後継者の育成、引き継ぎが大きな課題であり、失敗した事例もたくさん見てきた。

一言でいえば、会社が大きくなりすぎて、30代、40代の後継者が経営の中枢で力を発揮できる能力を身につけていなかったこと、そしてその業界(ビジネスフォーマット)自体がまだ脆弱であったのだと思う。

現実に、あれから30年、量販店という店舗はほとんど消滅している。

最近では、上場会社であったが、マスコミでも大きく取り上げられ、話題になった「大塚家具」の問題があった。娘が父親の創業した会社を後継して事実上、父親を辞めさせた。しかし、結局、経営は上手くいかず、ヤマダ電器に救済してもらい、株式を引き受けてもらい、本人も辞めてしまった。

一方、父親は新しい会社(家具店)を創った。コロナ禍で百貨店は売上げが半減、売場も撤退店舗が多くなった。そこで大塚家具の創業者が創った新しい家具店にやって欲しいと百貨店がアチコチからきているという。皮肉な話である。

後継者問題は難しい話の一つである。

後継者問題にかかわる様々なケースと課題を整理してみると次のようになる。

  1. 自分の息子、娘が後継者としての能力(人間力、経営力)をもっているか
  2. 先代が会長になり、社長を息子に譲ったが、その立場(役割)も中途半端でいざこざが絶えない
  3. 後継者になる子どもが一人しかいなくて、後継者の選択肢が限られている
  4. いつ、どんな立場(役割)で息子の後継者教育をしていったら良いのか、わかっていない
  5. 自社の将来のことを考えれば、自分の代で終わろうか…
  6. 後継者問題で悩むのであれば、会社を売却した方が社員にとっても幸福であると考える
  7. 自社の株式を親戚の人や長く働いてもらった人にも持たせてしまって、いざとなった時に株の分散が大きな問題となってしまった

等々である。さて、あなたの会社はどうでしょうか?