今月の学び(2022.2 №51)

後継リーダーに必要な役割と仕事⑥-リーダーはやはり「あの人は“できる人”」と誰からも言われることが大事

今まで本当に数多くの社長や幹部の人たちに会ってきた。中小・零細企業の社長、中堅企業の社長や幹部、東証一部上場企業の社長や幹部の人たちである。

オーナー企業でも様々なタイプの社長や幹部がいた。仕事の関係で知り合ったが、この人とは個人的に、そして生涯つき合いたいなと思う人とそうでない人とがいた。

経営も上手だし、人間としても魅力的な人もいる。経営は上手だが、人間としては魅力を感じない人もいた。この人は社長になってはいけない人、つまり社員を不幸にするだろうな!という人もいた。

完璧な人はいない。しかし、経営ほど人を育ててくれるものもないというのが長年、この仕事をしてきた私の結論でもある。それは「人間力」「経営力」という二つの能力を高めていかなければ、それなりの会社を創ることができないからである。

「それなりの会社」とは、経営を通して、商売を通して地域社会に貢献することであり、縁あって入社した人が誇りに思える会社を創ることであり、取引先にとってなくてはならない会社にすることなどである。

そのためにはリーダーは人間力を高め、経営力を常に身につけなければならない。一言でいえば、「学び続け」「実践し」「成果と達成感」を得ることによって成長でき、そうした中で決断や勇気や勘を磨くことができるのである。

そして何といってもリーダーは次の三つを組織に植え付けていって欲しいと思う。それは「共感」「納得」「信頼」である。それにはリーダーがこの三つを社員から認められる経営をしていかなければならない。

具体的には経営理念や方針、経営のやり方、言動である。社員は社長や幹部の言動をよく見ているものである。

そうした中からあの人は“できる人”だと評価しているのである。そのために、次の点を意識し、実践してほしい。

1.まず全体をとらえてから細部をおさえていく(大局着眼、小局着手)…視野の広さが的確な判断力、仕事の出来、不出来に直結する。いかに大局の変化、動向を見、各論に突き詰められるかが勝負の決め手。

2.反応が早く、フットワークよく健康…ツーといえばカー。飲み込みも早く、理解が正確ですぐ動きをかけられることが信頼の元。それを上回って大切なのは健康。

3.集中力があり、イザという時に没頭できる…やる時はやる。しかも的確な解答が出せる。

4.上からも下からも横からも愛される(友達も多い)…自分ひとりでできる仕事は少ない。上から見つめられ、下から支えられ、横からの助けがあってほとんどの仕事は決まる。

5.かくれた勉強家で努力家でもある…人間力、経営力、すなわち実力をつけるためには毎日の勉強が欠かせない。いかにも「オレはやってるぞ!」の雰囲気を出すのは、結局はやっていないことと同じだと思った方がよい。

6.ルーズな服装はしない…仕事上のファッションは誰のためか。どんな印象を期待しているのか。仕事人のファッションはいつも働く姿が正装である。

7.健康で明るく、声にハリがあり、前向き志向である…「元気で明朗」は相手に安心感をもたらす。毎日の健康とテンション管理ができてこそ仕事ができる。

8.「時間を守る」「仕事を守る」はできる人の下限の約束事である…これができない人は何をやっても二流以下として見られる。