幸せな社長のFlow days 第10回 「お客様に育てていただく」

こんにちは、関根美紀子です。

和田に仕事のことで色々相談すると

「あとはお客様が育ててくれるよ」

と言います。

今日、仕事に行く時小さな花屋さんの前を通り、

こんなことを思い出しました。

以前の職場で、花屋向けのセミナーを開催した時のことです。

セミナー終了後に、1人の男性が私の方にやってきました。

何か思いつめたような表情でした。

「脱サラして、花屋を開く」というのです。

「昨年、妻と娘を事故で失くした。妻の引き出しをあけたら、花の資料がたくさん出てきた。妻は花屋を開きたかったのだと思う。その意志を継ぎたい。ぜひ、手伝ってほしい」とのお話でした。

提示された金額は、規定の金額よりはるかに少ない金額で、とても会社としてはお手伝いできない額でした。

上司に相談すると、やっていいよとのことで、後輩と2人でお手伝いすることにしました。

 彼は、小学生の息子さんと2人暮らしでした。

 後輩と共に足繁く通い、時に息子さんも交えて夕飯を食べながらオープンに向けて準備をしました。

男性もだんだん明るくなっていきました。

 オープン当日、事前告知が功を奏し開店前からお店の前には長蛇の列でした。

 オープン後、お客様でごった返している中、突然怒鳴り声が聞こえてきました。

 お客様が蘭を買われて、彼がそれを車に積もうとした際、一本茎が折れてしまった。

「すぐに取り替えます」と言ったのですが・・・。

 「あなたは、花のことを何もわかっていない。

花が折れてかわいそうではないのか!」

というお怒りでした。

ごもっともな怒りです。

彼は、平謝りでした。

私たちは、花屋を開くことが目的になっていました。

どう告知するか?

どんな看板にするか?

値付けをどうするか?

売上目標は?

品揃えは?

そんなことばかり話し合っていました。

亡くなった奥様のように、

心から花に愛情を持っていただろうか?

花を通して、

お客様を笑顔にしたいと思っただろうか?

花について、

真剣に考えたことがあったろうか?

お客様に教えていただいた瞬間でした。

帰り際「まだよくわからないんでしょ?これからもくるから」と言ってお客様は帰られ、ホッとしたことを覚えています。

そういえば、震災の地に咲く花は、人に希望を与え、心を癒してくれますね。

花の持つパワーは本当にすごいのに、そんなことに気づかない未熟な自分がいました。

その後、お店は順調に営業することができました。

お客様に育てていただくことで、これからも少しでも成長していけたらと思います。