和田の本棚(2021.4 №42 )
和田の本棚 和田の書棚から「気になった一冊」をとりあげて紹介いたします。 |
著者:斎藤茂太
発行所:新講社 2003年12月5日第1刷発行 定価:1300円(税別) |
<本紹介>
著者は精神神経科・斎藤病院名誉院長として、悩める現代人の「心の安らぎコンサルタント」をつとめる一方、日本旅行作家協会会長、日本ペンクラブ理事など、多方面で活躍した。精神科医で歌人だった斎藤茂吉の長男(小説家で精神科医の北杜夫は茂太氏の弟)である。通称〝モタ先生〟が「人生、これで案外うまくいく」というとっておきのコツを紹介。
<気になった言葉>
〇人のいい面というのは、その人の背後に隠れている場合が多い。隠れているから、こちらのほうこそ「探す」努力をしなければならぬ(100P後ろから1L~)
〇物事がうまく運ばなくても、人のせいにしない・・・・・・このことを私がモットーとしている理由のもうひとつは「人のせいにする」というのは往々にして癖になりやすいからだ(121P後ろから5L~)
〇人生を愉快に生きてゆくことは、むずかしいことだと考えている。…具体的にあるものを変えるのはたいへんなことである。習慣を変える…人を変える…これもそう簡単にできることではない。しかし、ご自身の「心」を変えるのは、あんがい簡単なことなのだ(139P後ろから3L~)
◎希望がある。心にゆとりがある。それが、あなたの「これから」を支えてゆく(190P後ろから1L~)
…は中途略を表わします
[感想]
精神科医と聞くと後ずさりしてしまいそうだけれど、この本に出てくる言葉はどれも優しくて易しい。「心のやすらぎコンサルタント」として「モタ先生」と親しまれ慕われている雰囲気が漂ってきます。今のこんな時局の日々、眉間にしわがよりだしたら、パッと開いて読むと肩の力がぬけそうです。モタ先生曰く「急がず騒がず怒らず」―これで案外、うまくいく…。この「案外うまくいく」というスタンス、大事だなあと思います。
「急がず」は得意というより「急げない」というだけだけど、「騒がず怒らず」は疎かだったな~とか、「あの人のせいというのをやめ、あなたのおかげでやっていこう」とか、自分ごとにあてはめてみると、全てしっくりくる言葉ばかり。特に「その人はあなたのためだけに生きているのではない」という言葉には、そうでした!ごめんなさい!と謝ってしまいそう。心が満たされている人は「人のせい」にはしないそうです。
人一倍、失敗が多い人間だから学べることがあったはずだし、何なら笑いのネタさえいっぱい提供できたし、この本から自分のできることを少しでも実践しながら「案外うまくいく」と思って心に希望とゆとりをもって生きていきたいと思わせてくれました。
[和田のコメント]
歌人で精神科医の斎藤茂吉の長男であり、北杜夫(きたもりお)は弟である。茂吉の妻、つまり茂太と杜夫の母のてる子も猛女、才人と呼ばれた人であり、斎藤家の人々は実におもしろい人々で昔から興味があった。
この本の著者の茂太氏も飛行機や鉄道の造詣が深く、趣味を通して人生を楽しむ達人である。そんな茂太氏が書いたこの本は「いかに人生を楽しんで生きるか?」につきる内容である。精神科医でもあるから、人間の捉え方がおもしろい。
この本は私たちの毎日、何気なく生活したり、仕事をしている中で「あっ!そうなんだ!」と思わず膝を叩く言葉であふれている。
こんな考え、行動が習慣になったら、人生は楽しいと思えるだろう。