時代の移り変わりは時に凄まじいものがある。けれども、それは新しい思想を受け継いだ新しい企業体が出てくるということだ。
ダイエー(現在は、イオンの子会社)を創業した中内功氏(2005.9.19逝去)は戦後経営者の一人としても大変素晴らしい方だった。小さな薬屋の家に生まれ、大阪市内に主婦の店ダイエー薬局1号店をひらいたのが1957年、1972年に創業15年で百貨店の老舗、三越を売上で抜き、日本最大の小売店をつくりあげた。
1988年にはプロ野球球団の南海ホークスを買収、福岡ダイエーホークス(現福岡ソフトバンクホークス)を創設、1990年には流通業界で初となる経済団体連合会副会長に就任している。
中内氏は40年以上も前に「日本の流通を変えなければ!国民のためにどれだけのことができるか。創造的破壊だ!それができるのがダイエーなのだ!」と著書『安売り哲学』の中でおっしゃっていた。
私の友人でもある経済ジャーナリストの財部誠一さんが中内オーナーを2ヶ月に渡って取材をした際、こんなことを言っていた。「中内さんは高い志を持って日本の高度成長期に日本の流通革命を起こしてきた革命児であった。けれども2000年を迎えようとするこの時期に中内さん自身は時代を超えることができなかった」
歴史とは非常に酷いものだ。この時代に新しい創造をし、新しい提案を消費者にしてきたユニクロだっていつどうなるかわからない。
「時代を超える」、そのためにも創造力、革新力、提案力をつけてください。
<創造とは>
自分が今、している商売が、今の時代、これからの時代に本当に合っているのかどうかを考える。自分が買ってもらいたいと思っている人たちに受け入れてもらえるものであるか、高くないか、もっとローコスト化をはかっていくべきではないのか、売り方が違うのではないか、販売員の言葉が違うのではないか、いろいろある。
<革新とは>
過去の成功体験にとらわれていないか?固定概念にとらわれていないか?もう一度その辺りを客観的に見てみる必要がある。例えば、今、自動車業界は、二つの革新に対応している。一つは「電気自動車」であり、「自動運転」である。これは100年に一度の大革新になるであろう。
<提案とは>
決して誇大広告がいいものとは思わないし、やらない方が良いとも思うが、一番大事なことは自分たちがやっていることをお客様にきちんと伝えられるかどうか。
お店のメニュー、店舗づくり、そこに立つ従業員あるいはパートさん、あらゆる人達がその企業の代表選手。その一人一人がお客様にどういうメッセージを伝えられるか、どういう提案ができるのか、そういうことによって企業が評価される時代なのである。
そういう視点を持って、もう一度「創造」「革新」「提案」というキーワードで自分の会社をチェックしていただければいろんな答えが出てくると思う。