幸せな社長のFlow days 第74回 「エレファントシンドローム」
先日、ある会社より「職場改善したい」とのお話がありました。
私はファシリテーター役で、社長も含め全社員で話し合い、たくさんの課題を出していただきました。その場で解決案が出たものは即実行という流れになりました。
その中で、「毎月の席替えをやめてほしい」という意見がありました。毎月席替えしているの?と聞くと、社長が机の上が汚くなるから毎月席替えをするというのです。おおっ!斬新なやり方。(笑)
きれいにするので3ケ月に1回にしてほしいとの社員の意見が出て、社長も合意しました。その他にも改善案がたくさん出ました。進めていくうちに、皆さん普段社長にいえないことをあげているのだと気づきました。
予定時刻をすぎても皆さんワイワイと意見をあげていました。こんなふうに話し合いができるなんてとてもいいと大喜びでした。
そして2ヶ月後に伺うと、変わらずに席替えをしているというのです!理由を尋ねると、社長がやるといったから…。ということでした。びっくりと同時にがっかりし、怒りさえ感じました。その他の改善案も社長判断で手をつけられていませんでした。
社員のモチベーションを下げる上司の行動は
・案を出しても聞く耳を持たない
・約束を守らない
・反対意見を言うとキレる
・否定ばかりする
・最後にひっくり返して自分の思い通りにする
部下は次第にあきらめて何も行動しなくなり、リーダーシップを発揮するような社員が育たなくなります。
社員の皆さんは「エレファントシンドローム」にかかっていました。
「エレファントシンドローム」は、象を調教するために、子供の頃からロープで杭(くい)に子象をつないで育てます。子象は、逃げようとするのですが子象の力ではロープをちぎったりすることはできません。そのうち子象は「逃げようとしたってどうせムリだ・・・」と逃げようとしなくなります。そして大人になっても「どうせムリだ」と、引きちぎることができるのに何もしなくなるのです。
研修が始まる前にいつも机を拭いてくれる中国人の女性がいました。彼女は、人事部でもなんでもないのですが、毎回早く研修室にやってきます。
「忙しいのに研修の時間とるの大変でしょう?ありがとうね」
というと
「この研修がないと、みんなと話すことがない。会社にとって大切な研修、だからないとダメ」
と言っていました。
2ケ月後、彼女の姿が見えなくなりました。鬱病になったということでした。
こちらの会社、雑談がありません。社長が雑談する人はいらないと言っているそうです。(笑)仕事に集中するのも大事ですが、みんなが意見を言いやすい環境を作ることが大事です。
皆様の会社でしたらこのようなことはないと思うのですが、こちらの社長とにかく人と話す時間なんてもったいない!というタイプなのです。上になればなるほど、コミュニケーション力が必要になるのですが……。
社長自ら社員に笑顔で声がけするだけでもいいのです。社長が笑顔だと社員も笑顔になりモチベーションがあがり売上にも大きく影響します。
どんなに悪い状況も、社長の取組みで必ずよくなるので、あきらめずお伝えしたいと思います。
トップの影響は大きいと改めて感じました。