和田の本棚(2018.2 №5)
和田の本棚 和田の書棚から「気になった一冊」をとりあげて紹介いたします。 |
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著 者:サミュエル・スマイルズ
訳者:竹内 均 発行所:株式会社三笠書房 1985年6月25日第1刷発行 2002年4月10日 改訂新版 第1刷発行 2011年9月15日 改訂新版 第24刷発行 定価:576円(+税) |
<本紹介>
明治の青年たちがこの本を読んで奮い立った。「自助とは、勤勉に働いて、自分で自分の運命を切り拓くこと」。その多くの事例をあげながら詳しく論じられている。原著(タイトルは「Self-Help,with Illustrations of Character and Conduct」)が出版されたのは1858年。数十か国で翻訳され、日本での改訂版もすでに24刷を越した「自己鍛錬のための不朽の人生論」(訳者の言葉)。
<気になった言葉>
◎人間が無知やエゴイズムや悪徳の束縛から逃れられるかどうかは、ひとえにその人間の人格にかかっている。そして国民一人ひとりの人格の向上こそが、社会の安全と国の進歩の確たる保証となるのだ(14P6L~)
○人間の優劣は、その人がどれだけ精一杯努力してきたかで決まる…骨身を惜しまず学び働く以外に、自分をみがき、知性を向上させ、ビジネスに成功する道はない(20P10L~)
○「世間にあれこれ不平不満をぶちまけるのは、絶対に間違っている。どこか長所がある人間なら、いつまでも無視されつづけるわけがない。成功をつかまえそこなうのは、たいていはその本人が悪いからだ」(112P10L~)
○「行動でも思考でも反復こそが力である」…「人間においては習慣がすべてだ。美徳でさえも習慣にすぎない」(215P7L~)
○最盛期のイギリスを支えたのは、自助の心をもったイギリス国民であった…スマイルズの頃に比べて現在のイギリスの勢いがやや衰えたのは、イギリスの政治家たちが自助の心のない人を助けたからではないかとさえ私は考える[訳者の言葉](232P13L~)
※文中の(…)は「中途略」の意味です
[感想] 「真っ当に生きよう」と思わせてくれる本。「当たり前の道徳を説いているだけ」と思ってしまう人もいるかもしれないが、ページを読み進むにうちに「こんな風に生きられたらいいな!」と前向きな気持ちになって本を閉じた。「人格」というと高邁に感じてしまうけれど、そのための「努力と行動をし続けることの尊さ」が素直に心に入ってくる。
[和田のコメント] この本を最初に薦められたのは30歳になったばかりの頃であった。明治時代に日本でベストセラーになった本で有名な本が二冊ある。一冊が福沢諭吉の「学問のすすめ」で、もう一冊がこのサミュエル・スマイルズの「自助論」である。基本的には「国民一人ひとり、社員一人ひとりが自分がどうあるべきか、何をすべきか、自分自身の向上もさることながら、周囲の人(他人)も共に成長するために、まずは自分の人格向上、すなわち、人間力向上が大切だ」と私は受け止めて、それ以来、そういう考え方で少しは生きてきたつもりでいる。そういった面でも30代で、この本に出会えたことは大きい。